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イーネオヤの技法の特徴
ぬい針一本で編み上げる
針に糸をかけて小さい輪を作り、そこへ針を通して結んで結び目を作り、結び目を積み重ねていきます。
モチーフは、植物や動物をかたどったものから、幾何学模様のものまで様々です。
基本は結び目を作るだけなのですが、そこから作られる目や、それに渡す糸、ループ状の目などを組み合わせることによって、様々なモチーフが生まれます。
イーネオヤの糸
材料としての糸はもともとは絹糸が使用されていました。絹の持つ独特なしっとりとしたツヤと張りが大変きれいですし、編んでいてもキュッと締まる感覚が気持ちがいいです。
しかし、近年ではポリエステルの糸がよく使われるようになりました。手に入りやすく、何より安価で色が豊富です。手芸屋で300色以上もの糸が売られています。また手入れが楽ということで普段使いのスカーフの縁編みはほとんどのものがポリエステルの糸が使用されるようになっています。ダンテルと呼ばれるレース編みのドイリー状の作品には木綿糸(レース糸)が使われていましたが、こちらもポリエステルの糸を使用したものが多く見られるようになりました。
イーネオヤの色
主にスカーフの縁に使われることが多いオヤですが、スカーフの模様に使われている色を上手にオヤに取り入れています。大変カラフルなものが多いですね。トルコの方は色の使い方が上手いと感じました。皆さんピッタっと色合わせができるのです。トーンや補色・反対色のセンスは抜群で、つい地味な組み合わせになりやすい私でしたがよくアドバイスしてもらいました。
オヤの見本
トルコの女性たちは、オヤの見本を布に縫いつけていきます。私が通っていた教室でも、お互いに見本の布を見せ合って新しいモチーフを教え合っていました。これは私のオヤ見本の布です。新しいモチーフに出会った時、その時手元にある適当な糸で作っていたので、色がごちゃごちゃですが…大雑把な性格が現れていますね。几帳面な方は額に入れてもいいくらいの鑑賞に耐えるきれいなオヤ見本の布を作られています。
オヤには日本でよく見られるような「編み図」はありません。見本を見ながら自分で編む順序を考えながら編んでいきます。
複雑なモチーフなどは一見しただけでは読み解けず、何度も試行錯誤することもあります。そういうモチーフに出会うと、そのモチーフを考えだした人は本当にすごいなぁと感心し、上手に編めるようになった時には大変嬉しいものです。
最近では、コピーしたり(コピー機に直接オヤの作品を並べてコピーしていました)、カメラで写真を撮って記録することも多いです。オヤ見本の冊子も多く出版されています。
でも、やはり実物を見ながら見本を写し手元に集めていくのが楽しいですね。
次回はイーネオヤの糸と道具についてです。