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Oya オヤとは?
「オヤ」は古くから親から子供へと、また、地域のコミュニティーの中で受け継がれて来ました。針・かぎ針・ヘアピン・シャトルなどを使用し、細い糸にて作られる結び目で編まれる編み物です。おもにスカーフなどの縁取りに用いられてきました。ドイリーなどのレース編みは「ダンテル」と呼ばれています。
トルコでオヤが使われる作品としては、テーブルクロス、クロシュ、棚飾り、クッション、ハンカチ・スカーフの縁飾り、ボフチャ(風呂敷)の縁飾り、巾着の飾り などが在ります。結婚前に嫁入り道具として一式準備する伝統がありました。各地方に独自の特徴的なモチーフがあります。
トルコの方のお宅におじゃますると、親子何代かにわたっての様々な嫁入り道具の作品を見せていただく機会があります。また、アンティークのお店をのぞいていると古いオヤの作品に出会えることもあります。高くて手がでないのですが気前よく写真を撮らせてくれます。新しいモチーフに出会うのがとても楽しみでした。博物館では19世紀頃の作品を見ることができます。
現在は編める人が少なくなり、特にイーネオヤは珍しくなってしまいました。トルコでは自治体が中心となりイーネオヤの教室を開催するなど、伝統を守る活動が行われています。(私が通った教室もその一つです。)
オヤの主な種類
イーネオヤ
イーネオヤは、布や太い糸の鎖の上に縫針で結び目を作りながら作ります。
針に糸をかけて小さい輪を作り、そこへ針を通して結んで結び目を作り、結び目を積み重ねていきます。
材料として絹糸が使用されます。(最近は安価で色が豊富で手に入りやすく、手入れが楽ということでポリエステルの糸がよく使われています。)
ドイリー状のレース編みでは木綿糸が使われます。
針一本で編むレース編みは他国にも見られますが、イーネオヤは植物や生き物をかたどったもの、幾何学模様などから構成されるモチーフが特徴的です。
トゥーオヤ
主に木綿糸(レース糸)を使用します。イーネオヤ同様に近年はポリエステルの糸が主流です。
かぎ針を使い、鎖状の目の上にさまざまなモチーフを重ねていきます。レース編みの技法に似ています。イーネオヤと比べると縫い進むのが早く仕上がりも早い為、イーネオヤよりもトゥーオヤの方が好まれ編める方も多いです。日本でよく見られるレース編みよりもずっと細いかぎ針を使い、糸を指に巻きつけきつく引きながら細かい目で編み、モチーフも独特です。
メキッキオヤ
糸は主に木綿糸を使用します。イーネオヤ同様に近年はポリエステルの糸が主流です。シャトルに巻いた糸で輪を作りながら編みます。タッティングレースの技法に似ていますが、一般的なタッティングレースのようなドイリー状に編み進むのとは違い、縁取りとしてのモチーフが主になります。
フィルケテオヤ
糸は主に木綿糸を使用します。ヘアピン状の金具の両端に糸をかけて、かぎ針で編みます。ヘアピンの幅によって作られる端に房やビーズ、スパンコールを通すモチーフがよく見られます。
Photo from “Nylon Oya Dergisi No.4 Diktaş 5. Baskı Nisan 2006”
コザオヤ
独特な色に染められた蚕の繭を使用します。イーネオヤと同じくらい難しく、時間がかかります。
次回はイーネオヤについて書いていきます。 About İğneoya →